ゴルフ歴について詳しく教えていただけますか?
私は1988年生まれで10歳の時にゴルフを始めました。きっかけは父の影響です。父はゴルフが大好きで、週末はいつもテレビでゴルフを見ていました。
そんな父が私を坂田塾というゴルフ塾に入れたいと思ったんですね。当時この塾はとても有名で、古閑美保さんや上田桃子さんなど、のちに多くのプロを輩出しています。入塾テストはとても狭き門と聞いており、私はゴルフをしたこともなかったので、絶対に落ちるだろうと思っていました。
面接で「好きなプロゴルファーは誰だ?」と聞かれて、全然分からなかったもので、CMに出ていた選手の名前を適当に答えたら、「嘘つくな」と言われました(笑)。最後に靴下を脱いで足の指を見られて、「出て行っていい」と言われたのです。そして驚いたことに、私は合格してしまいました。
運命的な出来事だったのですね。その後のゴルフ人生について教えて貰えますか?
坂田塾では毎日3時間の練習が基本で、最初はゴルフがあまり好きではなかったんですが、大会で優勝した喜びや、負ける悔しさを感じる中で勝負が好きになっていきました。
中学・高校時代は福岡の沖学園に進学しとことんゴルフに打ち込みました。寮生活をしながら、毎朝6時からの朝練にくわえ本格的にゴルフのトレーニングに励みました。
大学は仙台の東北福祉大学です。そこでもゴルフを続けました。大学卒業と同時にプロ転向し、卒業後は5年間プロゴルファー(JGTOツアープレイヤー)として活動しました。しかし、思うような結果が出せず、26歳で引退を決意しました。
アマチュア時代の成績はいかがでしたか?
中学1年生の時に初めて全国大会に出場し、15歳の時には日本ジュニアで優勝もしています。中高・大学時代を通してゴルフ部のキャプテンを務めました。特に大学時代のキャプテン経験は印象深いですね。
毎年5つの団体戦タイトルの優勝を目指していたのですが、キャプテンとして臨んだ団体戦では、最初の2試合を落としてしまって、チームの雰囲気が最悪になったことがありました。なんとかこの雰囲気を変えないといけないと思い、当時、部活の規則で海に行くことは禁止されていたのですが、気分転換のためにあえてメンバーで海に行きました。そこで「残り3つの大会を取るぞ」と誓って、3本指を立てて写真を撮ったんです。その後、チームの雰囲気が変わって、実際に3つのタイトルを取ることができました。
プロになってからは思うような結果を残せず、苦労しました。最高の賞金が1大会で30万円程度で、4年間の賞金での収入は100万円くらいでした。
プロ引退後、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?
引退後、マイナビという会社に入社しました。ここで人材業界のノウハウを学びました。それまでの人生、ゴルフばかりの特殊な環境で育ってきたこともあり、社会に慣れるまで何度も壁にぶつかった記憶がありますが、スポーツ経験で培ってきた力も存分に活かすことができ、やりがいのある仕事だと感じました。35歳までの9年間、ビジネスパーソンとして多くのことを学びました。
2023年7月に「M.Y.D」という会社を立ち上げました。主な事業は二つあります。一つはスポーツ選手、特に野球部学生に特化した就職支援です。具体的には、大学野球連盟とタイアップして就活支援をしています。野球選手だけでなく、今後はいろんな競技の選手にも広げていきたいと考えています。
もう一つはインドアゴルフの運営です。
興味深い事業展開ですね。今後の展望についてお聞かせください。
いくつかの計画があります。まず、ジュニア向けのゴルフ大会を開催したいと考えています。また、インドアゴルフ施設の普及にも力を入れたいですね。日本ではまだインドアゴルフの利用率が低いのです。海外では、実際のコースに行ったことがなくてもインドアゴルフを楽しむ人が多いのですが、日本ではコースに行く前の練習としか考えられていない。この認識を変えていきたいと思っています。
さらに、スポーツ選手向けのキャリア支援も、単に就職先を紹介するだけでなく、研修プログラムも開発して、選手たちが自分の強みを理解し、次のキャリアに活かせるようサポートしたいと考えています。
それと、これは個人としての目標なのですが、来年からゴルフ競技に再挑戦する予定です。私は現在アマチュアの大会に出場できる資格がありませんが、来年から解禁される予定でして、アマチュアの大会に出場できるようになります。プロゴルファーではなく25歳以上が出場できる日本ミッドアマチュアゴルフ選手権の優勝と、アマチュアとしてプロのトーナメントへの出場を目標としております。
健康に対する考え方も変わったそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
坂田さんとの出会いがきっかけでした。ある会合で坂田さんの話を聞く機会があり、健康寿命と平均寿命の差について学び、衝撃を受けました。特に、男性の場合、人生の最後の8〜9年間は健康でない状態で生きなければならない可能性があるという話には驚きました。
それ以来、食生活の改善やアルコール摂取量の制限など、健康への意識が高まりました。例えば、以前は制限なくお酒を飲んでいましたが、今は1日2杯までにするよう心掛けています。また、プロテインの摂取も始めました。妻も一緒に健康的な生活を心がけるようになりました。
ビッグビジョンについて教えてください。
私のビッグビジョンは「世界で活躍するリーダーを輩出すること」です。スポーツ経験を通じて培ったリーダーシップスキルを、ビジネスや他の分野でも活かせる人材を育成したいと考えています。
スポーツで身につけた力が、どのように社会で活かせるのかを伝えていきたいですね。
松岡さんの多才な一面について伺いたいのですが。
そうですね、ゴルフ以外にも水泳やバスケットボールをやっていましたし、実はピアノも弾いていました。姉たちの演奏を見よう見まねで覚えてしまって。幼稚園の時には発表会に出たこともあり、ピアノの先生から「才能がある」と言われたこともありました。
器用な方だと言われることはありますね。何か新しいことを始めると、割とすぐに上達する方だと思います。ただ、これは両刃の剣で、その反面一つのことに集中しきれないこともあります。でもやっぱりチャンスがあれば、これからもいろんなことにチャレンジしていきたいと思います。
そのためにも健康が第一ですね!
プロゴルファーとしての経験を活かしつつ、新たな事業に挑戦されている姿勢が印象的でした。スポーツを通じて培った価値観や経験を次世代のリーダー育成に活かそうとする取り組みに、今後も注目していきたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。
松岡勇作
M.Y.D株式会社
https://makeyourdream.jp